『舟越桂 森へ行く日』7月26日より彫刻の森美術館で 今年3月に逝去した作家が準備を進めてきた最期の展覧会

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2024年7月26日(金)より、彫刻の森美術館では、『舟越桂 森へ行く日』が開催される。1969年(昭和44年)、日本初の野外美術館として、箱根に開館した同館の、開館55周年を記念して開催される展覧会だ。

その主役となるのは、遠くを見つめる、静かな佇まいの人物像で知られる彫刻家の舟越桂(1951-2024)。1980年代より本格的に活動を開始した舟越は、性別を感じさせない静謐な人物像などで注目され、両性具有や長い耳を持った「スフィンクス」のような異形の作品で、観る者に深い印象を与えてきた。残念ながら舟越は、同展の準備中、2024年3月29日に72歳で逝去したが、最期まで展覧会の実現を望んだ作家本人の意思と、遺族の意向を尊重して展覧会が開催される運びとなった。

《遠い手のスフィンクス》2006年 高橋龍太郎コレクション蔵 Photo: 内田芳孝   © Katsura Funakoshi Courtesy of Nishimura Gallery

展示構成は、まず展示室1で、手製の作業台やデッサン用の一本足のイスなど、舟越がアトリエに置いていたお気に入りのものや、晩年、病室で描いていた幻想的な風景画などを紹介。展示室2、3では、「人間とは何か」という舟越の生涯のテーマに迫る作品や、「スフィンクス」をはじめ、舟越自身が「心象人物」と名付けた様々に変容を遂げる作品群を展示する。さらに展示室4では、舟越が家族のためにつくった様々なおもちゃを紹介。舟越家のおもちゃをまとめた絵本のような作品集『おもちゃのいいわけ』の、27年ぶりの増補新版の刊行を記念したセクションだ。

《「私は街を飛ぶ」のためのドローイング》2022年 Photo: 後藤 渉

なお2024年7月6日(土)~12月1日(日)までは、同館アートホールにて、『彫刻の森美術館 名作コレクション+舟越桂選』も開催される。こちらでは2000点に及ぶ同館のコレクションから、近現代の優品と、舟越桂が選出した現代作家5名の作品を紹介する。キュレータートークなどのイベントも予定されているので、詳細は展覧会ホームページやSNSで随時確認を。

<開催概要>
『彫刻の森美術館 開館55周年記念 舟越桂 森へ行く日』

会期:2024年7月26日(金)〜11月4日(月・祝)
会場:彫刻の森美術館
時間:9:00〜17:00(⼊館は16:30まで)
料金:一般 2,000 円、大高1,600 円、中小800 円
特設サイト:
https://www.hakone-oam.or.jp/specials/2024/katsurafunakoshi/

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