ロックバンドSHISHAMOのドラマー、パートナーシップの宣誓を報告。制度の内容って? 日本の「結婚の平等」をめぐる現状は?

3ピースロックバンド「SHISHAMO」のドラマー、吉川美冴貴さんが7月14日、公式Xで、交際していた女性と「パートナーシップ」の宣誓を行なったことを報告しました。

ファンからは、祝福のコメントが相次いでいます。

パートナーシップ制度って?日本の「結婚の平等」をめぐる現状は?解説します。

SHISHAMO

「彼女とこれから2人で手を取り合って」「結婚できる日が来たらもっともっと嬉しい」

SHISHAMOの吉川さんはXで、「かねてよりお付き合いしていた女性の方とパートナーシップの宣誓を行いました!」とし、以下のように綴りました。

《嬉しいことは2倍に、そして悲しいことは半分こにしながら、彼女とこれから2人で手を取り合って人生を歩んでいきます!

そしていつか、結婚できる日が来たらもっともっと嬉しいです!

私自身は以前と変わらず、これからもSHISHAMOのドラマーとして邁進していくので、皆さんどうか応援よろしくお願いします!》

投稿へのコメント欄などではファンらから、「おめでとうございます!」「末長くお幸せに!」と、祝福の言葉が寄せられています。

また、吉川さんが同性パートナーとの結婚についても触れていたことから「結婚できることを祈っております」「早く同性婚の法制化ができるように」とのコメントも相次ぎました。

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【解説】パートナーシップ制度って?日本の「結婚の平等」をめぐる現状は

吉川さんが今回、パートナーの女性と行なったパートナーシップ宣誓の制度とはどのような内容で、どれくらい日本で普及しているのでしょうか。

まず「パートナーシップ制度」とは、法律上の性別が同じふたりの結婚が認められていない日本で、自治体がLGBTQ当事者らのカップルの関係を認める制度です。

制度を利用することで、従来できなかった公営住宅への入居や、公立病院での面会や手術の同意などができるようになる可能性があります。

NPO法人虹色ダイバーシティ調査によると、2024年6月28日時点で、導入自治体数は458で、人口カバー率は85.1%に上ります。交付件数は5月31日時点で7350となりました。

パートナーシップ宣誓をした同性カップルの住民票の続き柄に、親族を表す「縁故者」などと記載する自治体もありますが、性的マイノリティの権利を保障する法的拘束力はなく、結婚の平等の早急な法制化が求められています。

全国パートナーシップ制度共同調査(渋谷区・認定NPO法人虹色ダイバーシティ )

結婚の平等を求める動きはどうなっているのでしょうか?

まず、世論調査などでは、日本でも多くの人が結婚の平等に賛同しているという結果が出ています。

朝日新聞が2023年2月に電話で行った世論調査では、72%が同性婚を「認めるべき」と答え、同月、FNNが電話で行った世論調査でも、71%が同性婚を法律で認めることに「賛成」としていました。

そんな中、法律上同性カップルの結婚が認められないのは憲法に違反しているとして、LGBTQ+当事者が現在、国を訴えています。

「結婚の自由をすべての人に」と呼ばれるこの裁判は、札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の5地裁で6つの裁判が起こされました。

3月14日に東京地裁で「違憲状態」、札幌高裁で「違憲」とする判決がそれぞれ言い渡され、札幌高裁判決では初めて「憲法24条1項は異性間だけではなく、同性間の結婚も保障している」という判断が示されました。

しかしこの翌日、岸田首相は法律上同性カップルの結婚は「憲法上想定されていない」「訴訟の判断も注視したい」と、従来の主張を繰り返しました。

G7(主要7カ国)で同性カップルの結婚を認めていないのは、日本だけです。

当事者らからは「同性カップルにも結婚を認めることは、国にしかできません。早く動いてほしい」とのが上がっています。

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