「艀」、なんと読むでしょうか? 高度経済成長期の各港でよく見かけました【漢字クイズ】

本記事では意外と読めない漢字のクイズを出題します。本記事でご紹介するのは「艀」です。

【Q】「艀」のひらがな3文字、「は」ではじまる訓読みは?

「艀」の読み方は?

舟(ふね・ふねへん)があることからふね(舟・船)にまつわる漢字であると予想できるはず。

それでは、ヒントを。重い貨物を輸送する際に重宝します。日本では1960年頃をピークによく使われていました。

※「漢検」は公益財団法人 日本漢字能力検定協会の登録商標です。

出典(読み・配当級):『漢検要覧1/準1級対応』(公財)日本漢字能力検定協会

正解は……

「艀(はしけ)」です。

【漢字解説】

「艀」を辞書で引くと以下のような解説が記載されています。

字義

こぶね。

[国]はしけ。本船と波止場(はとば)との間を従来して、人や貨物を運ぶ小舟。

出典:新漢語林 第二版 大修館書店 電子辞書版

艀とは人や荷物を運ぶのに使う平底の船舶です。日本のみならず、海外でもよく使われていました。鉄道が普及する以前、とりわけ産業革命期におけるアメリカやヨーロッパでも使われていたそう。

「艀」の解字

形声。舟+孚(音)。音符の孚(フ)は、浮に通じ、うきあがるの意味。軽く浮きやすい、小さなふねの意味を表す。

出典:新漢語林 第二版 大修館書店 電子辞書版

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艀はどのようなふね(舟・船)なのか?

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艀は平底が特徴の船。木造のものが多いですが、大型船は鋼製です。大きさは貨物の積載量で表され、重いものであれば400トン前後。ほとんどが引き船に曳航(えいこう)されますが、単体で動ける機付きの艀もあります。

艀は港内や海などで陸(工場、倉庫など)と停泊中の船との間を往復し、貨物や人間(旅客など)を運ぶ際に使います。高度経済成長期の中盤頃までは貨物運送の主役でしたが、1960年代後半になるとコンテナリゼーションにその地位を少しずつ奪われていきます。

現在、よく見られる艀の船型は明治期に建造されたもので、大きな船倉をもったずんぐりした形から「達磨艀」と呼ばれていました。既存の和船よりも貨物を多く積め、安全性も高かったため普及したそう。

ちなみに、艀の乗務員やその家族は艀の中で暮らしていました。横浜の艀で暮らす子どもたちは日本水上学校(現:学校法人「聖坂養護学校」(学校部門)、社会福祉法人「日本水上学園」(宿泊部門))に在籍していました。また、名古屋にも艀の乗組員の子どもを対象とした施設・水上児童寮がありました。

これらの施設の設立には水上で暮らす子どもたちが教育を受けがたい環境にあったことや、艀の乗務員の不規則な生活が関係しています。

※問題解説:オトナサローネ編集部
(意味や語源などは諸説ありますが、広く一般に知られているもので解説しています)

参考文献:かながわ検定協議会『よこはま百問: かながわ検定・横浜ライセンス受験参考問題集』

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