前職のハラスメント上司が取引先にいる…! 30代女性の「窮地を救った人物」とは

過去に揉めた上司がなぜか取引先に!

新規プロジェクトメンバーの初顔合わせに参加した絢子さんは、その場に過去に自分と大揉めをした上司の顔を見つけて、背筋が凍りついたそう…。まさか上司も当時の職場を辞めて転職をしているとは夢にも思っておらず、その場にその人物がいることに驚きしかなかったと話します。

「最初はよく似た人がいるのかと思ったら、名前と顔をしっかり確認して、やっぱり当時の上司でした。その人はコミュニケーションがキツいことで有名だったのですが、特に嫌われていたであろう私は、さんざんモラハラやパワハラを受けました。前職では私がその人物の行動に対して反論をして大騒ぎをした経緯があったため、要するに“大揉めした相手”だったんですよね…」

絢子さんはバツが悪い思いをしながらも、素知らぬ顔でその場はやり過ごすことができ、ホッと胸を撫で下ろしたとのこと。しかし数日後、今の職場の上司から「折いって話がある」と呼び出されます。

勇気を出して今の上司に真実を告白

「上司に呼び出された時点で嫌な予感はあったのですが、話を聞いてみるとやっぱりという感じでした。先方から“今回のプロジェクトから私を外してほしい、外せないならプロジェクト自体をいったん白紙にしたい”と申し出があったと上司から伝えられました」

おそらく絢子さんの存在に気づいた元上司が、今の職場に対して絢子さんに関する難癖をつけたのだろうとすぐに察した絢子さんは、その場で上司に対して、当時のモラハラやパワハラについて打ち明けることに。すると、上司からは「それはひどい。あなたは悪くないし、プロジェクトの件はこのまま進められるようになんとか動いてみる」と言ってもらえたそうです。

「このときほど、今の職場に転職をしてよかった…と思ったことはなかったかもしれません。過去のハラスメント体験はもう何年も昔の話なうえに、正直今の職場には何の関係もありません。内容が内容だけに、面倒くさい話に聞こえそうで嫌だな…というのもありました。でも、結果として私の話を面倒がらずに受け止めてくれて、今の上司は取引先にも私の事情を説明してくれたそうです」

内容を知った取引先は、絢子さんは悪くないことを理解し、当初の予定通りにプロジェクトは進められることに。問題のあった過去の上司は、取引先の判断でプロジェクトメンバーから外されたそうです。

「まさか新天地に来てまで、過去のハラスメント上司と再会するなんて思ってもいませんでしたが、いい職場に転職したおかげで嫌な思いをせずに済んで、本当によかったです。あのときハラスメントのことを真面目に受け入れてくれた今の上司には、本当に感謝しています」

職場の風土によって、ハラスメントの扱いが異なる現実もあるでしょう。ましてや過去のハラスメントや現在の職場と関係のない話ほど、真剣に取り合ってもらいにくい実態もあるかもしれません。絢子さんのように勇気を出して真実を打ち明けることで周囲の理解が得られれば、適切な対処をしてもらえる可能性も高まるのではないでしょうか。

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