中国が「食料増産」へ大号令 でも強引すぎ? お墓参りに来た家族が見た衝撃の光景

北京市郊外の公園。園内を進んでいくと、突然、景色が一変する。緑豊かだった公園の樹木が大量に伐採され、一部が“農地”になっていたのだ。

「退耕還林」から180度転換

かつて中国は、環境保護のため農地を森林に戻す「退耕還林(たいこうかんりん)」をスローガンに掲げていた。ところが習近平国家主席は今、この政策を180度転換。森林や公園を、次々に「農地」に変えている。

四川省・成都市では6600億円もかけて整備したばかりの公園を、今度は2200億円かけて破壊、コメなどの農作地に作り変えていた。

だが、強引な政策転換は悲劇も引き起こす。

先祖のお墓参りにやってきた来た家族。ところが、あるはずの墓がどこを探しても見つからない。家族が嘆き声を張り上げる。なんと、いつの間にか墓が消え、一面、畑に変わっていたのだ。

中国が“食料増産”に必死なワケ

中国人ジャーナリストの周来友さんによると、きっかけはウクライナ戦争だという。

中国人ジャーナリスト 周来友さん:
「中国は世界の工場として豊かになり、食料も肥料もたくさん買えるようになった。だが世界は変わった。ロシアとウクライナの戦争を見て、これはマズいと政策を変えた。食料の確保、増産が必要だと判断したのだ」

食料増産の大号令は豊かになったからだけではなく、「有事」「持久戦」に備えた戦略ということなのだろうか。

世界を見渡すと、アメリカ、カナダ、オーストラリア、フランスは食料自給率100%を超え、残りを輸出に回す食料大国。ドイツやイギリスは、かつて日本より自給率が低かったものの1970年代から逆転。さらに山岳地帯が多いスイスも、90年代から自給率に力を入れている。

日本の食料自給率は38%(2022年度)。輸入依存度が高いのに、欧米や中国よりも危機感が薄い。

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