FXの勝敗の9割を左右する!…相場のトレンドの〈見極め力〉を上げるために、必ず頭に入れておきたい〈王道の理論〉【FXで借金完済を果たした敏腕トレーダーが助言】

(※画像はイメージです/PIXTA)

FXで利益を生み出し続けることができる人は、全体の約5~10%だといいます。トレードで稼ぐためには相場を見極めるための「環境認識のスキル」が重要です。FXトレーダーであるHiro氏の著書『FX 環境認識の定石』(日本実業出版社)より、FXで勝つためのトレード戦略について、詳しくみていきましょう。

FXの勝ち負けを9割決める「環境認識」のスキルとは

これからお伝えする環境認識のスキルはトレンドフォロー戦略を基本とします。この環境認識のスキルを発展させることで、トレンドが明確な相場を選択することができ、勝てる確度を高めることにつながります。

すべての基本はトレンドフォロー

環境認識とは、簡単にいうと現在の相場が上昇トレンドなのか下落トレンドなのか、もしくはレンジ相場なのかを見極める能力と定義します。別の言い方をすると、現在の相場が「買いなのか」「売りなのか」「トレードすべきでないのか」を見極める能力です。

[図表1]トレンド相場とレンジ相場 出典:「FX 環境認識の定石」(日本実業出版社)より

トレードで利益を上げ続けていくためには、この環境認識のスキルが何よりも重要であり、勝ち負けの9割を決めるといっても過言ではないと個人的には感じています。

そして、私が推奨するトレード戦略は、ずばりトレンドフォローです。トレンドフォローとは、トレンドの波にうまく乗って利益を伸ばしていく戦略です。トレンドの波をつかむために、現在の相場がどのような状態なのかを見極める能力である「環境認識のスキル」がとても重要になってきます。

つまり、現在の相場を見て上昇トレンドだと判断したのであれば、あとはいかに買いエントリーでその波に乗るかを考えていき、下落トレンドだと判断すればその逆である売りエントリーを検討していく、ということです。

明確にわかる相場だけでエントリーをしていく

私はトレンドフォローでトレードすると決めているので、レンジ相場ではトレードしません。そのため、明確に上下に動くレンジ相場だけでなく、上昇トレンドとも下落トレンドとも判断がつかない相場でも、私はレンジ相場とみなしてトレードを回避しています。

これを物足りなく感じる方もいるかもしれませんが、これくらい大胆に決断をしていくことで迷いが減り、結果として勝ちやすい相場、わかりやすい相場でのみの勝負になるので、自ずと利益も上がりやすくなります。

逆に、FXで勝てていない人の多くが、チャートを見たときに買いと売りの両方の選択肢を常に考えてしまい、自分の中で迷いを生じさせます。そうなると、難しい相場でもトレードしてしまうため、勝率を悪くしているところがあると思います(過去の私がそうでした)。

それを避けるために、明確に上昇トレンド、もしくは下落トレンドだとわかる相場でだけ勝負をするのです。選択肢を絞ることによって、自然とトレードの精度が上がります。この戦略の変更だけで、勝てるようになる人も中にはいるかもしれません。それくらい、環境認識というスキルは、トレードで利益を上げるために重要なスキルとなってきます。

また、自分がわかる相場でだけトレードするというと、「その判断が難しいんだけど……」と感じる方もいると思います。しかし、そう感じることは問題ありません。なぜなら、それは現在の自分のスキルでは実際にトレードする段階ではないという証拠だからです。

逆に、自分のレベルが上がってくると、「わかる相場」というシーンが自然と増えていきます。つまり、明確にわかる相場でだけトレードするという戦略を採用すると、そのときの自分のレベルに合った相場だけが選び出され、無理なく勝つ感覚というのが養われていくのです。環境認識というスキルを伸ばしていくメリットは、こういう部分にもあります。

Point

●すべての基本はトレンドフォロー、環境認識が勝敗の9割を左右する

●明確な相場でのみトレードし、選択肢を絞ることで勝率を向上させる

●環境認識スキルの向上により、自信を持って取引できる相場を増やしていける

稼げるトレーダーになるために重要なスキルとは

王道の相場分析理論「ダウ理論」を中心に、チャートパターン分析やインジケーター、マルチタイムフレーム(MTF)分析など環境認識を把握する方法を紹介します。これらはトレーダーにとって重要な裁量スキルの一環となるものです。

王道の相場分析「ダウ理論」

環境認識とは、現在の相場が上昇トレンドなのか、下落トレンドなのか、レンジ相場なのかを見極めることだと説明しました。それでは、具体的にどうやって行なえばいいのでしょうか。

一般的には、さまざまな相場分析の理論やチャートパターン、インジケーターを使用して行なっていきます。

相場分析理論といえば、ダウ理論やエリオット波動、サイクル理論、ハーモニック理論、通貨強弱などがあります。

中でもダウ理論は、一番有名かつ王道の相場分析理論であり、初心者から上級者まで幅広く使用されている環境認識の方法です。ダウ理論についてはまたあとで詳しく解説しますが、簡単にいうと主要な高値と安値を見極めてトレンドを判断する分析方法になります。

何をもって「主要な高値と安値」と見るかが難しく、結果として人によって相場分析の結果が大きく異なってくることも珍しくありません。

しかし、このような明確な答えがあるわけではない、いわゆる裁量スキルを伸ばしていくことこそが、稼げるトレーダーになるためにはとても重要だと私は考えています。

[図表2]ダウ理論 出典:「FX 環境認識の定石」(日本実業出版社)より

他にはチャートの形からこの先の相場がどう動いていくかを判断するチャートパターン分析、移動平均線(MA)やボリンジャーバンドなどのインジケーターを使用した環境認識の方法があります。

[図表3]ボリンジャーバンド 出典:「FX 環境認識の定石」(日本実業出版社)より

これらはダウ理論などの裁量判断が必要な環境認識の方法とは違い、ある程度機械的に判断できるため、初心者でもトレードが安定しやすいというメリットがあります。

マルチタイムフレーム(MTF)分析

一方で、そのような機械的な判断だけでは勝てないのも相場の世界です。過去の私もそうでしたが、インジケーターをうまく組み合わせて勝てる手法、いわゆる聖杯探しのようなことをしても、なかなか勝てるようにはなりません。そこで重要になってくるのが「マルチタイムフレーム(MTF)分析」という考え方です。

マルチタイムフレーム分析とは、複数の時間足を見て現在の相場がどのような相場なのかを総合的に判断していく方法のことをいいます。これも裁量スキルの1つであり、インジケーターなどを使った環境認識はもちろん、ダウ理論など元から裁量判断が必要な環境認識にも効果を発揮します。

[図表4]裁量スキルの目標 出典:「FX 環境認識の定石」(日本実業出版社)より

この、「相場を俯瞰して上下の時間足を自由に行き来する感覚をつかめるようになる」という状態を1つの目標にしてほしいと思います。

Point

●環境認識の方法は、ダウ理論やチャートパターン、インジケーター、マルチタイムフレーム分析などがある

●ダウ理論は、主要な高値と安値を見極めてトレンドを判断する

●マルチタイムフレーム分析は相場を俯瞰して見ることを可能にする

Hiro
FXトレーダー

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